非日常の時間へ 〜熊野大花火大会(準備編)〜
熊野市を語る時に欠かせないのが熊野大花火大会です。
熊野市の人口1万7000人に対して、この日熊野市を訪れる観客はおよそ17万人!
僕もこの夏、初めて生で観ることができましたので、その感動を忘れないうちに書き留めておきます。
長くなるので、まずは花火大会前日までの町の様子を紹介します。
熊野大花火大会について
熊野大花火大会は、お盆の初精霊供養を起源として、三百余年の伝統を誇る日本でも指折りの花火大会です。この起源は今の時代にも引き継がれており、初精霊供養の灯籠焼きや追善供養の打ち上げ花火などがプログラムに組み込まれています。
お盆の供養のための花火ですので、曜日に関わらず毎年8月17日に開催されます。
打ち上げ玉数は約10,000発。有名な隅田川の花火大会が約20,000発、長岡大花火大会は2夜で約20,000発ですので、町の規模を考えると、とても大きな花火大会だということがわかります。
花火は、熊野市の七里御浜の海上と国の名勝天然記念物であり世界遺産でもある鬼ヶ城から打ち上げられます。単なる打ち上げだけではなく、海上や岩場で花火を爆発させることにより、特徴的な花火の形や大音響を楽しむことができます。(その分天候の影響を受けやすく、快晴にも拘わらず、はるか沖合いの台風による高波のために開催が延期になったこともあるそうですので、お出かけの際は最新の開催情報を確認してください。)
この日は、小さい町に信じられないほど大勢の観光客が訪れますので、駐車場は満車、ホテルは満室、JRも満員、道路は大渋滞(しかも市の中心部全域で交通規制、自動車専用道路の熊野尾鷲道路は一般車両通行止め)という状況ですが、熊野市の方々は慣れたもので、それほど混乱した様子はありませんでした。
前日までの出来事
熊野大花火大会の準備は、大会のひと月ほど前から始まります。
重機で浜を整地し、立入禁止区域のロープを張り、有料浜席などの区割りをし、仮設トイレを設置し、堤防に桟敷席を設営し、次第に花火大会を迎える準備が整っていくのです。浜の区割りなどは学生ボランティアの方々などによって成り立っているそうです。暑い中、本当にありがたいことだと思います。
クライマックス(?)は大会の5日前、8月12日午後5時に解禁となる浜の場所取りです。以前は好き勝手に場所取りをしていたらしいのですが、数年前から公平に見られるようにと始まった取組みだそうです。(写真を見るとわかるように、四隅に杭を立てて紐で囲うだけでなく、対角線にも紐を貼るのがポイントです。そうしないと、せっかく確保したスペースの内側に場所取りされてしまうそうです(汗))
前日の出来事
さていよいよ花火大会前日。
何となく町の雰囲気が非日常に変わっていきます。町を歩く人の数が明らかに増え、町中が浮き立っている感じ。僕の職場でも、夕方から駐車場を封鎖し、観光客の方に勝手に車を停められないように対策をしました。
最近臨時休業している町の銭湯も、花火大会当日だけは営業するようです。(でも花火大会の時間は閉めるあたりがとてもいい感じです。)
夜は、市内の木本古道通りで「熊野古道夜市」が開催されます。普段は夜になると人とすれ違うこともあまりないこの通りが、人で溢れかえります。(熊野に来て5ヶ月、この通りでこれほどの人を見たのは後にも先にもこの日だけです。)
通りに沿って行灯が飾られ、多くの屋台が軒を連ねています。中には地元の高校生たちが出店している屋台もありました。花火大会に合わせて帰省してきた地元の方々が再会を喜ぶ場面も見られて、ローカル色豊かな夜市です。
僕は一人寂しく焼き鳥とビールで乾杯しました(汗)
こんな風に花火大会前日の夜は更けていったのです。